第1話の数日前の話?
「類も友も呼ぶ」




〜喫茶店『With Maria』内〜

「あぁ〜いつ食べても美味しいぃ〜〜♪」

なぜか毎日の朝食をここで食べるのが日課になりつつある天城は文ちゃんの料理にハマっているようだ。
それを隣で座って嬉しそうに眺めるマリアさんも毎日天城の顔を見れて嬉しそうだ

「でも、愛さんは料理とかしないんですか?」

ふと、文ちゃんは愛に尋ねる

「“ちゃんこ”とかよく作ってるんだけど、やっぱり文ちゃんの料理が美味しいからねぇ〜」

「・・・“ちゃんこ”って?・・・あれお相撲さんが作るのが“ちゃんこ”じゃないですか?」

「やっぱりそう思う?けっこう力士が作るのが“ちゃんこ”とかいうんだけどレスラーもちゃんこ作るんだ。“ちゃんこ”って元々食事全般を指すから、どんな料理でもある意味“ちゃんこ”なんだ・・・って説明っぽくなってしまった・・・ハハハ・・・・・」

「ふぅ〜んそうなんですか!」

「なんにしても、文ちゃんのご飯は美味いってこと!!」

「ほんまやわ〜〜」

こんな感じで喫茶『With Maria』の朝は今日も過ぎていく・・・

「・・・っ!!!・・・・・こ・・・これは・・・」

朝食を食べ終え食後のコーヒーを楽しんでいた愛はカウンター席においてある数冊の雑誌を見つけた。

「・・・これって、『アニメ新人類』に『アニメッス』に『アニ友』・・・それに『特撮ジョーカー』それ以外にも・・・なんでこんなにマニア向けの本がいっぱいおいとる?マリアさん!!」

ちょっと興奮気味になってしまう愛

「・・・?!・・・そういえばいっぱいおいてはんな、文ちゃん知ってる?」

「それって・・・あっ・・・もしからしたら忘れていったんじゃないですか?」

「ほんまやひょっとしたら忘れていったみたいやね」

「そう言えば今日出かけるって・・・急いで忘れていったみたいですね

「そうそう」

「それは・・・」

「あぁーーーーーっ!!」

文ちゃんが名前を言おうとした瞬間、愛は大きな声を出した。

「・・・な・・・なんですか、びっくりしましたよ」

「文ちゃん今日は何日?」

「えぇ〜っと・・・」

「完璧忘れてた・・・私としたことが・・・」

「なんなんですか?そんなにショックな顔して・・・」

「今日はフェニックスの映画制作の記念イベントの日・・・失敗したと・・・」

「なんですかそれ?」

「知らんと?」

ちらりと時計を見た愛は文ちゃんの手を握ると

「今ならまだ間に合う!!マリアさん今日は文ちゃん借ります・・・ついでにこの本もその人に返してきます」

「なんで・・・わたしが・・・」

「今日も暇そうやし、文ちゃんも気晴らしに行きはったらえぇわ」

「えぇぇぇぇぇええええええぇ〜〜〜〜」

愛車のバイクにまたがり二人は風を感じながら目的の場所へと
とてつもないスピードで向かった。


〜都内某所イベント会場〜

「なんとか間に合った・・・」

「あのどこへ・・・」

手を引っ張られる力に負け、渋々と文は愛に連れられ人ごみの中へと消えていった

「・・・見つけた」

「ここなんなんですか?」

愛に引っ張られ訳もわからない場所に連れて来られた文の目の前には
たくさんのグッズが並べられたブースのようだ。

「って、あれ愛さんどこ行ったんですか??」


「これこれこれ・・・これ欲しかった・・・」

ドスンッ

欲しかったフィギュアを手に取った瞬間、壁のようなものに当たった感覚がした
こんなところには壁なんてないはず?一体何が起こったのか?
愛は手に取ったフィギュアを離さないままその当たった方向を見てみると

「ナンデすか、アブナイ人でございませんか」

自分よりも確実に大きな金髪の髪の間違いなく日本人ではない外国人が目の前にいる
女性のほうではかなり大きなほうだと自覚する愛は少し驚いた

「・・・ごめん、これに集中しすぎて・・・」

手に持っているフィギュアを相手に見せて愛は申し訳なさそうに謝った

「・・・そ・・・それはフェニックス限定フィギュアではアリマセンですか、ワタシもサガしてたトコロ・・・」

「おっ・・・この限定わかると?」

「モチろんです!これを手に入れる為に来たデスね、それとこれは・・・」

でっかい外国人は愛に袋からそれを見せた

「それは・・・グリフォンTシャツ?」

「ワカリますデスか!!」

二人は意気投合し語り合った

「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・愛さん・・・やっと見つけましたよ・・・」

なんとか探し出した文は愛に近づくと愛が誰かと話しているのに気付くと
金髪の女性も文に気付いたようで文に向かって

「OH〜〜フミちゃ〜〜〜〜んっ!!どしてココにいるんデスかーーっ!フミちゃんも好きだったデスねぇー」

「ベッキーさん?」

「って、文ちゃんこの人知ってるの?」

不思議そうな感じで文ちゃんを見ると

「ビックリですよ、こんな大人数の中でベッキーさんに会えるなんて・・・。あっ・・・愛さんこの人が先ほどの本の持ち主のベッキーさんなんです。ってなんだか・・・二人もお知り合いになってます?!」

文に紹介された二人は互いをみながら

「ベッキー!!よろしく私は愛、天城愛」

「アイ!!ワタシ、ベッキーだよ。今後ともよろしゅうござんす」

「ねぇ話夢中になってて気付かなかったけどよく見るとベッキーの今着てるTシャツって・・・もしかして『反逆少年ルカワさん』Tシャツ?」

「そうデス、通販で買っちゃいましたデス」

「それ人気高いんだよねぇ〜」

「そいえば、愛の左眼もルカワさんみたいでかっこいいデスね・・・羨ましいデス・・・」

「この眼ね・・・いいでしょ」

二人の会話に入れない状態になる文を余所にディープな会話が周りの人に聞こえたのか二人の周りには
少しづつ同士とも呼べるような風貌の人々が人山の黒だかりを作り、異様な雰囲気へとなっていく
そこで文は不思議なことに気付いた。
集まる人のなんと楽しそうな笑顔・・・
わかってもらえる人に出会えた時の嬉しそうな顔・・・
文は少し羨ましく思えた・・・

「じゃ・・・この辺で迷惑になりそうだから・・・」

会場の一角でものすごい状態になっているとに気付いた愛は
他の人の迷惑になりそうなこの状況を締めくくりに入った

「それじゃ・・・みんな・・・今日はこれで終わりにするけど・・・またどこかで語り合おう!!・・・最後の言葉はやっぱり・・・」

愛の一言で何かを悟った大勢の人々は愛の一言を待つ
愛は大きな声で

「ジ〜〜〜クッ・バロォ〜〜〜〜ム!!」

合図ともいうべき言葉を発すると
愛とベッキーは互いの腕をクロスさせ

愛・ベ「「バロ〜〜〜ムエーックス!!」」

と満面の笑みで声を揃え叫んだ
それを見た直後、他の同士達も二人と同じように
腕をクロスさせると

「「「バロ〜〜〜ムエーックス」」」

と次々と連呼し始めた。
互いの友情を確かめ合うと言われるこのポーズでイベントスペースは大盛況に終わった!!

「次はカラオケでアニメ・特撮歌いまくるぞぁーーー!!」

「OHHH〜〜〜最高デ〜〜〜〜ッス!!

愛とベッキーは肩を組み意気揚々と会場をバイクで去っていった

「あれ?そう言えば文ちゃんは?」


その頃
文ちゃんはイベント関係者に呼び出されて説教をされていましたとさ

「こんなイベントもう嫌ぁ〜〜〜〜」





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