フレイア鏡vsナスターシャ・ハン
「狼の遠吠え」


リングに足を運ぶ数名への歓声・罵声は他に類を見ない不思議な光景がある。
その中央に位置するのは銀色の髪を太股にまで靡かせ、紅い瞳を輝かせるフレイア鏡。
その容姿端麗な姿はすべての人を魅惑の淵へと誘い込むには充分過ぎた。
そのフレイアを囲むように帯同する者には
見た感じから典型的なヒールレスラーといった者たち、覆面を被った妖しき者などが
観客に向け威嚇的な態度をとっている。
彼女らは気に入らない団体、選手があれば多勢でもって潰しにかかり
数多くの団体を荒らしまくるといった形でヒールの一大組織を作り上げていった。

DIVAs(Duty・Immoral・Violence・Angel・s)と名付けられたフリーのヒール軍団は
始めこそ傍若無人な振る舞いに観客は恐れ戦いたのだが
徐々に、その魅力が受け入れられるとDIVAsファンが続々と誕生し
いつのまにやら熱狂的なコアなファンを持つ軍団へと変貌していったのである。

そして、今DIVAsの自主興行が行われるに至ったわけである。

ひとつの要因はやはり、フレイア鏡。デビュー当初からその姿にマスコミが殺到
綺麗だけではなくそのセンスがテレビ、雑誌受けすると
各方面からのオファーは後と絶たずといった感じで
女子プロレス界の華が健在であることを物語っていた。
鏡はフリーに転向後もあらゆる映画、ドラマ、雑誌、モデル、果てはそれ系の専門誌に至るまで
卒なくこなし、会う人、逢う人に「次も仕事を・・・」と人脈の広さも伺われる。
かといって、プロレスの試合を手を抜くといった感じは見受けられず
人としても完璧な人なのであった。

リングを席巻すると、マイクを握りフレイア鏡は

「今日は我々の自主興行にお越しいただき誠にありがとうございます。わたくしの今日の対戦相手は今まで未定となっていましたがこれからその方に出てきていただきましょう!!」

今日のメインイベントのマッチメイクは

無制限1本勝負
フレイア鏡 VS X

とだけ書かれている。

会場は暗くなりドライアイスが辺り一面を覆い凍てつく氷が割れる音が聞こえると
金髪の髪をショートカットにし、紫色のリングコスチュームを纏った
フレイア鏡に負けず劣らずの端麗な容姿を持つナスターシャ・ハンが入場ゲートに現れると
会場は現EWA女王の登場に一気に興奮状態に陥った。

優雅にリングに向かうとフレイアはセカンドロープに腰をかけトップロープに肩をかけると
ナスターシャ・ハンの行く道を大きく開けリングへと招き入れた。
リングで向かいあい、お互いの顔が近づき握手すると、ロシア語で

「お招きしていただき、ありがとう。ミナミよりも楽しませてくれるんでしょ?」

とフレイアにボソリというと

「南さんはこの前に私の前で泣き崩れ・・・懇願してきましたわよ・・・」

「・・・っ!?」

と流暢にロシア語で返した。

「・・・・流石ね」

ナスターシャ・ハンは噂通りのフレイアにニッコリと微笑むと
自コーナーに一旦行くと、ゴングがなるのを楽しみに待ち侘びた。

「それでは、これより今日の自主興行試合のナスターシャ・ハン選手対フレイア鏡様の試合を開始します。まずは、現EWAチャンピオ〜〜〜〜〜ッン、関節の女王ぉーーっ、ナスターシャーーーッ・ハぁ〜ンーーーーーーッ!!」

友好的な感じの歓声がナスターシャ・ハンを迎え入れた。

「続きまして、DIVAs興行のメインイベンターーーっ!!
 妖艶なる銀狼ぉ〜〜っ!!フレイアぁぁぁ〜〜〜っ鏡ぃ様ぁぁぁーーーーーーっっ!!!」

超満員の会場からは大歓声と共に四方八方からの銀と黒の紙テープが
舞うとリング一面が二色の色に染められた。

二人は銀と黒の海をかき分けるとリング中央に向かいレフリーのチェックを受け、特別ルールの説明を受けると
再び自コーナーに戻ると二人の容姿端麗な女性は二匹の狼の姿に様変わりした。
セコンドはリング外に降り、レフリーを除くと二人だけの戦場となるとリングは静寂を保っていた。

ゴングがカァァーーーーーンッッッと会場響き渡ると
二人は静かに相手の動きを見ながらじっくりと相手がいる方へリング中央へと足を向けた。

まずフレイアは右手を上方に挙げ、ガバッと指を広げると女王を誘った。
ナスターシャは迷うことなく左手を上げフレイアの指に自分の指を重ね合わせると、しっかりと握り合うと
今度はナスターシャの右手が先程のフレイアと同じ動きを真似するとフレイアも左手をゆっくりと重ね合わせた。
ググっと力の入れあいは静かに始まり徐々に力があるナスターシャが相手を掌握し始めた。

と、フレイアは後ろに体重移動するとナスターシャの両腰に
両足をかけ、変形モンキーフリップを見舞うとナスターシャは反転し着地
両手を離しフレイアのバックを取ろうと、体勢を立ち上げるフレイアを待ち受けた。
ナスターシャの右手が伸びるのをキャッチするとアームホイップで相手を投げつけるが
ナスターシャは綺麗な受身でそれを受けると徐にジャンプし、ドロップキックを放つ。
それを見越してか狙ったかフレイアもナスターシャめがけドロップキックを放つ。
微かに足同士が絡み合うと綺麗な弧を描き二人は一回転をし着地すると
片膝立ちの状態になり相手の力量を確認しあった。

一連のプロとしてのテクニックにファンはこれから行われる勝負に期待しつつ拍手が沸き起こる。

両選手が立ち上がると時計の反対回り、足は交互に行き来しながら
リングに円を描き相手とのタイミングを取り合った。

先にしかけたのはナスターシャ・ハン。低空のタックルをすると
するりとフレイアはナスターシャをかわすと、バックを取ろうとするのだが
ナスターシャ・ハンはタックルを急停止、左手首を掴むとワキ固めの体勢に入るが
フレイアもそれを読み、重心を前にいかないように腰に力を入れる。
と、その行動の前に左腕を捻り上げた。両手で左手首を捻り上げバックにまわると耳元へ

「・・・なかなかやるわね」

「・・・これからですわ」

「・・・?!」

柔らかい体を利用し相手の首を取るとロックするとヘッドロックの体勢で締め上げる。
ナスターシャ・ハンはロープへフレイアを振ると帰ってくるフレイアに掌底を見舞う・・・
前転してフレイアは掌底をかわすとロープの反動を利用しナスターシャめがけてエルボーを放つ。
エルボーを受けたナスターシャ・ハンは上手に受身を取りながらダウン。
フレイアはダウンしたナスターシャ・ハンに向かって、ちょいちょいと右人差し指を動かすと
ナスターシャハンは薄ら笑いしながらゆっくりと立ち上がった。

序盤から目まぐるしい動きに観客も徐々にヒートアップしていく。

ナスターシャは掌底を右左右と打ち分け連続攻撃の最後に右脇腹に左ミドルキックを放つ。
すべて防御したフレイアだがミドルキックを防御している時点で後手に回っている事に気付いた時には
ナスターシャ・ハンの狙い済ました右ニーがボディに炸裂した。

「・・・ぅぐっ!!」

首相撲され、もう一撃重い膝を叩き込まれると胃液が喉元を通りそうな感覚に見舞われた。

「・・・・・・ッうぎぃぃぃぃっっ」

首元からのプレッシャーから開放されたかと思うと右手首を掴まれグルッと一回転させられると
マットに寝かしつけられて一瞬のうちに飛びつき腕ひしぎ逆十字固めの体勢に持っていかれてしまった。

流石に世界NO、1とも言うべき関節技の使い手。一瞬の隙がこのような状況に持っていかれるとは・・・
世界の壁はなかなかに遠いものだと考える暇さえなくフレイアは完全に極まりきっていない腕を救うべく
足をジタバタと動かしロープへと向かわせる。
なんとかロープへと足は届き右腕は最小限のダメージで
その場を凌ぎきったフレイアはナスターシャに気付かれまいとすぐに立ち上がった。

ナスターシャはフレイアの立ち上がりと共に飛びつくと、グルリと自分の体を一回転させると
標的を足に向け、ビクトル膝十字を意図も容易く左膝にがっちりと決めあげた。

「・・・どう?」

「・・・・・・うぎゃぁぁぁあああぁぁっ」

ジリジリと足を締め上げる外国人のナチュラルな腕力とムチッとしたフトモモに挟まれると
どんなに逃げようとも離す事はなかった。
関節技を究め、志すものの一人としてはまずはポイントをはずすことを第一に体を動かす。
ズラすことに成功すると体勢を入れ直しナスターシャの両手首付近を何度か右足で蹴り、
押し上げ左足を引っ込めると、抜け出すことに成功するが、ナスターシャは次の動きへと入り
今度は右足首を掴みヒールホールドの体勢へと持って行こうとしている。

早いテンポのいい動きにフレイアはゴロリと体を回転させながら
相手の足首を掴むとアキレス腱固めに決め返すと絞り上げる。
やっとの思いで攻撃に移り、締め上げると

「・・・・ッ・・・ンンッ・・・・・・ック・・・」

と無用な言葉を発しない関節の女王になんとか一矢を報いる事が出来たのだが
次の瞬間
逃げた左足を掴み直され、両足をクロスさせられるとナスターシャ・ハンが
日本人の選手を苦しめる為にロシアから持ち込んだクロスヒールホールドがフレイア鏡に襲いかかった。

「・・・・・・ぅ・・・っがぁ・・・っいぎぃいい・・・・・・うぅぅうううぅぁあああぁぁっ・・・」

今まで味わった事のない痛みに急激に見舞われたフレイア鏡は
なす術なく叫び、クロスヒールホールドの恐ろしさを体感した。

フレイア鏡も未知の技の対処法は過去の試合を見ることでしか知る術がなく、
過去になんとか返した選手が頭の中に浮かぶとその選手のようにロープへとグルッと回転して
やっとの思いで右手をサードロープまで伸ばし握り締めるのに成功した。

サッと手を離し相手と距離を取ると両足に相当なダメージを受け、
立つのも困難な状態の銀色の狼を獲物を狩る眼をした金色の狼が見逃すはずもなく
生まれたばかりの小鹿のように立っているのもやっとの足めがけ、
ローキックを数発撃ち込むと左ハイキックで止めを刺しにかかった。
グラつきながらも、足を前に出し、金狼の射程距離をグッと縮めた銀色の狼は
左ハイキックを掴むと同時に左手で相手の首元を捕まえ、そのまま捕獲したまま後方へと投げを放った。
キャップチュードは綺麗な弧を描きつつ相手をマットに叩き伏せた。

「・・・ッゥグッ!!」

ドスンッという音と共にマットに叩きつけられたナスターシャは何とか立ち上がるが、
対戦相手のフレイアの姿が自分の眼から消えていることに気付いた瞬間
後頭部に激しい痛みを覚えた。

「・・・・・・ッックグゥ!!」

フレイア鏡はがくがくの足で延髄斬りを見舞ったのだ。

頭がフラッとしたが倒れるのを何とか阻止したが、フラリフラリと覚束無い足取りを
数歩した時には顔面へと膝が突然、飛んできた。

「・・・・・・ッ・・・・・・グハッ!!」

フレイア鏡は相手の横のロープへと足を運ぶと思いっきりジャンプすると
ジャンピックニーパッドを鋭角にナスターシャ・ハンの顔面に叩きつけたのだ。

完全なダウンを奪われ、地を這わされた金狼は頭をブルッと一度振ると
片膝状態の体勢から立ち上がろうとしたが、銀色の狼が自分の右膝に飛び乗りかると
狼の牙がまたもや自分の顔面へ喰らいついてきた。
シャイニングウィーザード・・・いやフレイア鏡のシャイニングファングが完全に顔面を噛みつくと
よける間もなく、金色の狼の意識が飛びマットに大の字になってしまった。

ギュっと金色の上品な髪を鷲掴みにすると観客にアピールしながら
相手の脇に自分の頭を潜らせ首を自分の手で巻きつけ
右指は相手の紫色の布切れをギュッと握り締めると
フレイア様は上の方へと担ぎ上げると天から地へと一本の綺麗な垂直な光が降り注いだ。

ブレーンバスターの体勢だ。

重力に逆らう状態からフッっと無重力状態になるとフレイアは右手に力を込め
体はそこからスッと地球の中心へと引き摺り込まれ紫のリングコスチュームは
股間を守るものではなく攻撃するものとして、喰い込むと
なんとも言えぬ感覚をナスターシャ・ハンに植え込んだのだ。
マットへと脳天から垂直に落とされた金色の髪は
グサリと突き刺さり、体はグラリと力なくマットへと横たわった。

・・・ワァ〜〜ン・・・・・ツゥ〜〜〜〜ッ・・・・・

マットを叩く音に敏感に反応した関節の女王は左手を
ザッと上に上げ、敗北を免れたもののその左手をキャッチされうつ伏せ状態にされると、
その左手をなんとも柔らかいフトモモに挟まれてしまった。

直後、痛みの残る顔面をガッチリと覆われるとクラップラーフェイスロックを極められてしまった。

あまり喰らったことのない技に対処方が見つからず力任せに相手をどけようとするのだが

「・・・・・・ヒィ・・・・・ヒギィィ・・・・・・ィイイイイイィィィィィーーーッッ」

憐れな声しか出せず眼に汗ではない何かが潤んでいる・・・

「・・・女王様もこれで終わりですわね・・・」

と耳元で囁くと・・・



ルート1
※血を見るのが嫌なら見ないでください

ルート2
※オラ、エロが好きだ!!っていう方専用

つまらん

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